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本屋の片隅で、カレンは無意識に手を伸ばした。棚の一番奥にあった古びた本。表紙は色褪せていて、タイトルもはっきり読めない。ページも黄ばんでいて、長い間誰の手にも触れられていなかったことがわかる。
「なんだろう、この本…?」
カレンは首をかしげながら、その本を取り出した。どう見ても古いけれど、何かが彼女を強く引き寄せた。まるで運命に導かれるように、自然とその本を開く。
その瞬間、辺りが静まり返り、空気がひんやりと変わった。ページをめくるごとに、何か不思議な感覚が彼女を包み込む。文字が浮かび上がり、ゆっくりと輝き始めた。
「えっ…何これ?」カレンは驚いて後ずさりしたが、本は彼女の手に吸い付くように離れない。ページが自動的にめくれ、光が一層強くなっていく。
その時、突然、本から声が聞こえた。
「お前が選ばれた。」
カレンは凍りついた。
「選ばれた…?何に?」
カレンはその声を聞いて驚きつつも、本を再び開いた。
すると、目の前には見たこともない場所の地図が広がっていた。
複雑なラインが入り組み、海や山、川が描かれているが、明らかに現実の地図とは違う。
地図の端には、きらびやかな金色のコンパスが刻まれていた。
「またこれか…」
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