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「ふう、やっと授業も終わって…」
終礼が終わったあと、私は息をついた。
今日は本当に大変だった、突然朝っぱらから後輩に尾行に参加しろと脅され脅迫され、昼にはシリアスな話を聞かされ、その合間に先生の蛇の尾を踏み、怒られたなんてそんな日がこの世に存在するのだろうか?
さて、すべて終わったことなのだから_と思ったがそうもいかないようだ。
教室の扉からおぞましい気配がした。
それもこちらを見るような気配、すごく獣性のある気配だ。
私は少しも警戒することなくそちらに向かう。私はこの気配を知っていた。
「こら!蓮くんツリ目でこっちを見ない!」
「えっへヘ…ごめん、ごめん。」
蓮くんが眉をへたらせて、謝るポーズをする。
蓮くんは私のファンを何故か自称しており、よく部活がないときに迎えに行くのも蓮くんなので気配を知っているのは当たり前である。
結構手痛い視線だけど。
「それで今日はどうしたの?私これから帰るんだけど…今日の当番はあなたじゃなかったよね?」
私は不思議そうにそう尋ねる。
今日私の警護をしてくれる守護者さんは、青島くんだった気がするのだ。蓮くんがここに来る必要などまったくない。
「ええと…重要なことがあるから、あの部屋に来いだって。健が。」
「重要なこと?まさかあいつ付き合ったりした電撃発表をしたいだけじゃないの?」
「ボクもそう言ったけど…結構焦ってたよ、あの人。」
蓮くんが真剣な目でそういう。
このおふさげ上手な後輩が真剣な目をするくらいなのだから、何かあったのだろうか?流石に私でも、心配してくる。
「…今すぐ、その部屋につれてって。」
「言われなくてもわかってるよん」
蓮くんは真剣な目をすぐさま取り除き、ニッコリとした笑顔でいう。
そして、わたしの手をそのごつい手で引っ張って、走った。
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