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その私の前に立つ人物は、荒い息をさせながら言葉を発した。
「ふぅ…やっと追いついたわよ。健くん、私が諦めると思ったら大間違え。私はまだユキくんに女装をさせることを諦めていないんだから!」
この人は一体何を言っているのだろう。ユキくん?
「ええっと…a」
「優樹菜ちゃんこんにちは〜、あ。ユキが二人だわー、ほんと!」
もう理解不能である。
しっかり見るとその人は、かなりの美形で二十代くらいの女性だった。ウェーブの掛かった緑色の髪に、大きく突き出した胸、ムチムチの足。しかしながら太っているとは正反対の体、しっかりメイクを指定なさそうなのに黄金比で美しく整っている顔立ち、きれいなミントグリーンの瞳。その身体に着ている少しルーズな黒色のズボンと白色のブラウス、その上に羽織っているベージュのスリーブレスは彼女の体をより美しく見せていた。
うっかり彼女に見とれてしまいそうなところに、赤髪が言葉を発してくる。
「麗子さん…諦め悪すぎ…。」
「おー_当主には。そして師匠には。敬語でしょ!?」
ゴツン!
聞いているだけで痛い苦痛の音が隣から聞こえる。見てみれば、麗子と言われた、あの美形の彼女が、赤髪の頭を撫でるかのように殴っている様子だった。師匠、まさか私に会いたいといった赤髪の師匠って!?
「あの、つかぬことをお伺いしますがあなたは赤髪の師匠さんですか…?」
「そう!その通り、私こそ健くんの師匠の乙木麗子よ!よろしくね?」
彼女_乙木麗子は暗闇と年齢に似合わない高い声で、美しい顔でウインクをしながらそう私の質問に答えた。おとぎ…おとぎ…何処かで聞いたことがあるような気がするのだが…あ!
「もしかして、麗子さんさんって…学園長_!?」
「そうだよ…この人は、学園長だ。若いけどな、まあそれ応答の役割は果たしている。」
「それおうとうって…なにかな^^」
顔が怖い。
しかし、学園長がなんのようだろうか。まさか学業で問題があったり…退学届を出せとか言われたり?しないよね…
「顔が怖いわよー、大丈夫?学校のことじゃないことを話したかったんだ!例えば…プリンセスのこととか。」
「_!?」
この人なんで私の秘密を知っているのだ。
私の秘密は守護者しか知らないはずなのに。ま、待って。緑色の髪、ミントグリーンの瞳、そしてゆき。この条件から彼女は_緑山先輩のお姉さん?
「一週間前は弟が世話になったね。そうね、多分あなたの思う通りよ。私がユキくんの姉。」
つまりはこの人こそ緑山先輩の難敵であるということだ。
先輩から少し聞いた話なのだが、お姉さんは武道全般できて道具の扱いも起用、かなり戦闘に優れた体をしているらしい。赤髪に教えていたのも、自分が武道に長けているからなんだろう。しかし、この人なんのようで私達のことをつけてきたのか…。
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