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「だからどうしたんだよ!?ぺろりと食べるななんて馬鹿か。そんな事言う人多分サンドイッチ食べた人間の中でお前一人だけだぞ。」
赤髪が私の抗議に堂々と反論する。しかし私もそれでは負けまい。しかしこれではいつまでも本題に入れないので、今度こそすぐに本題を口先から放つ。
「あなた好きな人いるの?」
「それ単刀直入過ぎるだろ…いるけどどうかしたか?」
赤髪が少々戸惑う。私は構わず最後の、最後の言葉を言い放つ。
「どうかしたじゃない!なんで勝手に好きな人作ってんの!?」
私の怒りは爆発寸前だった。なんでわかってくれなかったんだ。
あの子、あんなに笑顔だったのに。
あの子、あんなに希望を抱いていたのに。
あの子_本当にあなたのこと大好きだったのに。
「なんで_勝手に好きな人作ってんのぉよ…馬鹿なのぉ…。自由なのはっ‥わかるけど…でも、でもぉ…。」
「お、おい。好きな人っつても_もうあいつはこの世界にいねえよ。」
「じゃあ_ガーデン・カントリーっ?」
そうやって必死こいて聞いてみた。それがみんなをこの恋の連鎖から救うと信じて。それが私の苦しみを救うと信じて。でもそれが危うかった、私は自己中だった_だって彼自身もレノンちゃんも傷つけてしまう言葉を言わせてしまったから。そう、彼から聞かされた言葉は衝撃的すぎたから。
赤髪はまるで覚悟したかのように呟く。
「俺の好きな人、死んだんだよな。もうどこにもいねえ。魂も体も。」
「へ?」
あまりにも衝撃的すぎて言葉を失う。
赤髪の顔をまじまじと見つめると、そこには見たこともない失望の顔が浮かんでいた。あまつさえ涙も浮かんでいた。
「たましいも‥からだも?」
私は赤髪の言っていることが信じられなくて、口をパクパクさせながらそう呟いた。小さな声だったはずだが、赤髪には聞こえていたようだった。
「長い話になる_聞いてくれるか?」
小さな子供のように私に問いかける彼の背中は、丸かった。
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