第七話「赤髪のヒミツ2」

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第七話「赤髪のヒミツ2」

赤髪が苦笑いをしながらいつものような口調を忘れ、ポツリと呟く。 「あいつ、最後に見たとき笑ってたのにな…。あんなことからこんなことになるなんて思いもしなかったぜ。」 それは、赤髪が私と出会う前の_秘密の話。 ___________________________ 彼には幼馴染がいた。その子は、補峰緑(ほみねみどり)という美少女。誰にでも公平で、優しく、そしてとにかく美しい大和撫子の名が似合う少女だったという。その美貌に惚れ言い寄る男も少なくなく、一日に百通の手紙が来ることが当たり前のような日常を送っていた。 そして、赤髪はそんな彼女に恋心を抱いていた。 更に、その緑さんも赤髪に恋心をずっと抱いていたらしいのだ。 完全なる両思い。 彼女との付き合いは幼稚園の頃からで、家族ぐるみだったという。家族の中でも、もう婚約のことは話されていて赤髪は一応なかなか性格がいいし、美貌もそれに劣らなかったため婚約者にはぴったりだと称された。婚約決定がされたあとも、彼らの関係はどんどん良くなっていっていく。 そこまでは、この世の幸せをどれだけ集めても足らないくらいの幸せだったのだ。だがそこから当たり前の日常に異変が起きた。 「優樹菜、無差別少女失踪事件って知ってるか?」 赤髪は丸い背中のまま、私にそう尋ねてきた。 「もちろん知ってるよ_五年前の、あの事件は今でも忘れられない。」 無差別少女失踪事件とは、3年前に日本全国でおきた大事件で日本を震えさせた事件だ。そして、未だに解決していないコールドケースの事件、未解決事件なのだ。ある日突然帰宅途中の少女が帰ってこず、母親が心配して警察に連絡したところどこにもその少女がいなくてその後も全く戻る気配がないという不可思議な一件から始まった。 日本全国に被害は及び、そうやって失踪していった少女は全員で30人。更に少女であるということ以外被害者は全く接点を持たず、捜査が難航していた。 親や教員が心配して、家に出ず女子だけ自宅でオンライン授業になったこともある。それくらい、恐ろしい事件なのだ。 ただ、この恐ろしい事件をもっと恐ろしくしたのはこの事件は他のコールドケースとは違うある恐ろしい伝説を持つから。一件目の事件の後、三十件めに被害が上っていた頃だった母親のもとに電話があったらしいのだ。母親はもちろん電話に出た、だってそれはどこかに疾走した少女からの電話だったから。だがそこから聞こえてきたのは、不気味なノイズと_ 『おか、さん、じけん、はも、う、おわ、る、よ。でも、さんねん、ごにまた、ふた、りしょうじょがち、る。その、しょうじょの、な、まえ、は 闖ッ荵�━讓ケ闖懊→讖区ーエ繝ャ繝弱Φ』 という少女からの言葉だった。それを聞いて母親は気絶し、父親が発見して救急車に運ばれるという大騒動が起きた。その話は新聞で、事件の都市伝説として取り上げられていたから私も知っている。 「というか3年後って今じゃん!」 「そうなんだよ…てか、まず話を進めようぜ」 私が思いっきりツッコミを入れたが、その話はすぐ戻された。どうやらこの日本を震えさせた無差別少女失踪事件に彼女が関わっているらしい。
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