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あのあとも緑さんはどこにもおらず、次第にみんなも事の次第を忘れていった。そして、突然山の奥に白骨遺体が見つかりそれが緑さんのものだと証明され、事件は被害者死亡ということで終幕した。
親はその後病気でなくなったため、お葬式は友人たちの間で行われたという。ただ、お葬式をするときに遺体の骨がどこかに行ってしまったらしいのだ。もちろんその場にいた人も慌てふためいて、祈りだけを捧げることになってしまったとか。
そして、遺されるはずだった彼女の魂も体もどこかに消え失せてしまった。
こうしたことで、一連の事件は終わった…らしい。
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「そういうことだったのか…」
私は事件の始終を聞いて、納得したように頷く。
赤髪はこちらを見ながら、大きなため息をつき私の独り言に答えた。
「あいつは魂が天に登っちまったし、体もどっか行っちまった。好きな人は、好きになれねえ幽霊なんだよ。橋水の答え、ちゃんといってやるから部長は黙っときな。」
赤髪はそう言って、校舎裏を離れていく。
その足取りは、あの丸い背中とは変わっていなかった。
「結局、無理してるのはあんたのほうじゃない…」
私はその背中をじっと見つめて、見送ることしかできなかった。
そうやって、優樹菜が赤髪の背中を見送っている頃_カフェテリアでは中1少年少女による本物の講義、に高1男子が割り込んできていた。
「そ~、それでさあ健のやつ何でも食べるんだよね。健って、ほんとなんでもいいと思うよ?」
「なんの話ししてるのー?」
少年少女_蓮とレノンは驚いた顔をして、彼の方を向く。
彼の名は、鈴原耀。屋上で緑山幸人と話をするために優樹菜を誘導していた高校生男子である。故に、蓮たちは彼のことを全く持って知らないのだ。
当然ながら蓮は訝しげな顔をして
「お前誰?」
といった。すると鈴原は、
「僕は鈴原耀だよお。
そういえばさあ、君、優樹菜ちゃんって子が呼んでたけどお?」
とニッコリとした笑顔で答える。その口調は、おっとりとしていた。
蓮は優樹菜という言葉に感づいたのか、レノンに
「この人よろしくっ!」
とだけ言って、カフェテリアの扉を勢いよく開けて去っていった。
カフェテリアにはついに、二人と店員だけしかいない。
レノンは少し怪しげな雰囲気に戸惑っていた。いつもここが明るく、生徒が立ち寄るところしか見ていないからだろうか。今日はだいぶ遅くまで、ここにいたからかもしれない。
緊迫感がカフェテリアを飲み込む中、鈴原はひそりとレノンに呟いた。
「今日の放課後、屋上ね。」
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