さよならの最◉値

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   こりゃいよいよやばいかもしれない。とうとうイマジナリーフレンドが現れてしまった。しかも、会話できちゃうタイプときた。  窓からの訪問者と目を合わせて、真っ先に浮かんだのはそんなのんきなものだった。思いのほか冷静な自分に驚いてしまう。  想像上の彼は、困ったふうに眉を下げていた。それは何だか見覚えのあるような気配があった。  はて、いったいどこだったろうか。  脳内検索をして気付く。ヒットした苦い記憶に、やな気持ちになる。一瞬見なかったことにしようかと思った。  確かにそう思ったのだ。 「……えと、はあ、まあはい」  なのに、なぜだかくたびれた首は頷いていた。
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