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そうか、あの時のあれは、そういう意味だったのか……。
「……って、ちょっと待って。ヴァンパイアって、ホラー映画とかに出てくるような創作物じゃないの？」
「何、ホンモノ目の前にして信じられないとか？」
「そりゃそうでしょ！ 現実味がないし、そんなのが実在するなんて聞いたことないもん」
「真実を知ってる人間は意外とみんな喋らねえモンよ。色々とめんどくせーことになるしな」
「いや、だけど……」
「過剰搾取はドナー虐待に値するらしいからあんまやりたくないけど、信じられないならもっかい咬みついてやろうか？」
にやりと口の端を上げながら覆いかぶさってきたマモルに、私は全力で首を横に振って拒絶した。
「し、信じる。信じるから、とりあえずさっきの約束は守ってよ」
「は？ 約束って……ああそっか。何もしないって言ったんだったわ」
マモルはそう言うと、それ以上強引に迫ることなくあっさりと身を引いてくれた。
「じゃあ、今日は泊まっていいんだな」
「……」
「拒絶するならさっきの約束はナシ。今からお前を」
「泊まっていいです！ オッケーです！ ぜひ泊まってってください！」
慌てて答えた私に、マモルはいい子だ、なんて言いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
私は自分の身に最悪の事態が降りかからなかったことにホッとしながらも、一杯食わされたという悔しさを噛みしめた。
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