この国で最も有名で有能だったはずの俺がどん底に堕ちるまでの話

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 そう、劣勢は覆った。国民の多くが熱狂し、信心深い(Begodded!) 一部の連中は、俺が神に愛され元首となるべく認められている証とまで言った。結構! 悪くない。  このまま一気に優勢になる、そう思っていたが。再び、徐々に状況は悪化した。支持率は再び、対立候補に逆転された。  側近は言った。不用意な発言は不利になります、お控えください、と。不用意な発言だって? 何が? 移民は下等人種と言ったことか? 白人の男が最も優れた人種なのは遺伝子学上明らかだ、奴は、そのどちらでもない、と言ったことか?  別にたいしたことじゃないじゃないか。本当のことを言って何がいけないのか、まったく理解できない。  だが、確かに、このままではまずいな。どうしたものか―。  俺は側近に耳打ちし、DMを送った。
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