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     □  数週間後、『傑作(笑)』という文字と共に、陽太の写真が添付されてきた。プリクラのように、ハートのスタンプやピンクのネオンペンで落書きされていたけれど、その内容は酷くおぞましかった。 『気持ち悪い』  思わずそう返信した。 『だよね、超キモイ(笑)』 『いったい何なの? 何のためにこんなもの送りつけてきたの?』 『七美ちゃん傷付けた一色は懲らしめてやれないけど、朝倉なら皆で罰を与えてるよ』  ……待って、本当に、何の話?  文末にピースサインの絵文字を付けて送られたメールを見て思った。これまで、「一色くん」「陽太くん」と呼んでいたはずのコが、「一色」「朝倉」と書いていた。 『どういうこと?』  あたしは陸に傷付けられてなんかいない。  悪いのは陽太だ。  その陽太が、あたしに仕返ししようとしているんじゃないの?  そう思っていたら、新たなメールを受信した。 『朝倉、一色とデキてたんでしょ? 七美ちゃん、ずっと一色に裏切られてたんでしょ?』  違う。違う違う違う違う違う。陸はそんな人じゃない! 陸はそんな気持ち悪い人なんかじゃない! 全部陽太が悪いの! 陽太に「オカシク」されただけなの! 陸まで巻き込まないで!  打ち込んだ内容も見返さずに、送信ボタンを押した。
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