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生きたいと願ってほしかった
ナナミに未来は訪れない。
ナナミがもうすぐ死ぬ運命にあることに、僕は、強い恐怖を感じた。
死神である僕が初めて、人間が死ぬことを悲しく辛いものだと思い知った。
嫌。嫌だ!!ナナミが死ぬなんて!
もっとナナミに生きてほしい。
どうしよう、どうしたら……
そうだ、ナナミが生きられる方法があるじゃないか。
僕の命をナナミに捧げれば……
でも死神が自分の命を人間に手渡すなんて、許されるはずない。
分かってる。でも、ナナミが生きたいと願うなら僕は命をあげても構わない。
「ナナミ、僕」
声が震えてしまう。僕は自分が死んでしまうのが怖いわけじゃない。
それでも、決めた。
「僕の命をナナミにあげるよ。そうしたらナナミは元気になれるから」
ナナミは僕の目を見た。僕の突然の提案に驚いた顔をしている。
しばらくして、首を横に振った。
「てんちゃんはナナミに命をあげたら死んじゃうんでしょ。そんなのダメ」
「どうして!?ナナミは生きたいと思わないのか?僕が居なくなれば、まんが家になる夢だって叶えられるんだよ。ナナミも、みんなだって幸せになれる」
僕はナナミを説得した。
けど、ナナミはただ柔らかに微笑んだ。
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