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『ねぇ、見てルイ。』
『どうしたの?』
『あの雲、エンジェルウィングスのようじゃない?』
『本当だ、凄いね。』
『ふふ、今日はとっっても良い日ね!』
『えぇ、そのぐらいで良い日になっちゃうの?』
『えぇ!だってこんなにも綺麗な空をルイと見れたんだもの。』
そう言って笑う、月のような君はもういない。
『いつか、大天使様に選ばれてあの鳥のように雲の上を飛ぶの。それが私の夢。』
『じゃあ天使の修行も頑張らないとだね。』
『あら、ルイも飛ぶのよ!』
『んー、僕には無理じゃないかな。』
『そんなことないわ!一緒に頑張りましょ?』
『うん。そうだね。僕も青空を飛んでみたいかも。』
『やった!約束ね?』
『うん、約束。』
ああやって笑い合うことすら出来なくなってしまった。
一緒に空を飛ぼうと約束した君は、天使になる試験で事故にあった。
その試験で僕だけ受かり、大天使様に翼を授けてもらい、準天使から天使に昇格した。
でも、まだ一度も空を飛んだことはない。
僕がこの翼を使う時は君も一緒だ。
善良に生きた準天使は生まれ変わることができるという。
あんなに綺麗な笑顔を見せる君ならば、きっと生まれ変われる。
翼だって授けてもらえるだろう。
そうしたら、一緒にこの青空を飛ぼう。
、、、約束を果たして。
「あの、すみません。天使に昇格するための試験ってどこで受けられますか?」
1人想いにふけていたら、声をかけられた。
「あぁ、それならこっちの、、、え、サラ?」
「ル、イ?」
「サラ、サラだよね、!」
「えぇ、そうよ。、、、ルイ、よね?」
「ルイだよ!サラ、生まれ変われたんだね!」
「大天使様にお慈悲を頂いてね。、、、ルイは、天使になれたのね。」
「うん。あの日、試験に受かったんだ。」
「よかったわね。私はまだ、今から受けに行くとこなの。」
「、、、本当はルイが最初に飛ぶ時は私も一緒が良かった。」
「でも、もう無理だからせめて、私が飛ぶ時は一緒に来てくれる?」
「ふふ、まだ大丈夫だよ。僕、まだ一度も飛んだことないから。」
「、、、どういうこと?」
「約束したでしょ?ちゃんと守ったんだから。」
「!ルイ、待ってて、すぐに受かってくるから。」
「慌ててまた事故にあわないようにね?」
「ええ!だから、私も翼を授かったら一緒に飛びましょう?」
「うん。約束ね。」
「約束。」
どこまでも続く大空には翼をはためかせる鳥がいた。
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