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「……無理しないで、ユズ」  マリの顔が強張っている。  わたしの無謀な救助活動を心配しているだけじゃない。  マリを支えている大きな木々がミシミシと嫌な音を立てて軋んでいるのだ。  わたしたちの距離が少しずつ、少しずつ遠ざかっていった。 「無理してない! 今行くよ!!」  わたしはマリを支えている木とは別の木にそっと乗り、少しずつマリに近づいていった。  崖に生えている太い木の幹に足をかけて、進んでいく。  するりと移動できればいいのだが、なかなか難しい。  少し体重を移動すると、ミシミシッという音とともに、身体が大きく傾いた。  バキッ  ついに私の身体を支えていた幹が折れてしまった。 「うわぁぁぁぁぁぁ」  乗っていた足場がくずれ、わたしはマリのところまで真っ逆さまに落ちていった。 * * * 「ユズ、大丈夫? ユズ!!」  わたしは、マリの声で目が覚めた。  気づくとオレンジ色の服を着たお兄さんたちが、私たちのことを運んでいた。  ゆらゆらと、ゆりかごのように体が揺れる。   「……うぅ」 「よかった、目覚めた!! 私たち、助かったんだよ!!」  ――そうか、良かった。  ふわふわと眠気が私を襲った。そして、また目を閉じた。  
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