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「小さいころ、調べ物をしたくてもあまり親がパソコンを触らせてくれなくて。そんなとき、古本屋さんでこの本に出会ったの」
「そうなんだ」
「手に取ったら、野鳥の声が聞こえたから本当に驚いて。それで、興味を持ったの」
「野鳥に?」
「そう。それがわたしと野鳥の運命の出会い。だからユズにもきっと、そういう出会いがあるよ」
「それと、最後にもう一つ秘密にしていたことがある」
「なになに?」
「実はね、あの遊歩道の待ち合わせ場所に、小さな小鳥の巣を見つけたの。よく見たんだけど、名前までは分からなかったの」
驚いた。
わたしも同じ時間あの場所にいたのに、小鳥の巣を見つけることはできなかった。
「マリは、きっと大学ですごい研究をするんだろうな」
「え、どうして?」
マリは分厚い眼鏡の向こうにある丸い目をさらに丸くした。
「マリの観察眼は、鷹の目のようだから」
「なんだそりゃ!」
マリはケラケラと笑った。
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