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三
翌週の土曜日は、土砂降りだった。ニュースを見ると、台風が近づいているらしかった。
わたしは、いつもの遊歩道に行かなかった。マリも家にいると思ってたので、わざわざチャットで連絡しなかった。
マリは今頃何をしているのだろう。やはり、あの図鑑を読んでいるのだろうか。
わたしは考えてもしょうがないと思い、スマホでマンガを読み始めた。
「――ねぇ、ちょっといい?」
青い顔をした母が、わたしの部屋に入ってきた。
「どうしたの?」
「マリちゃんがどこにいるか、知ってる?」
ドキリ。ついさっきまでマリについて考えていたので、心臓が跳ねた。
「……どうしてそんなことをきくの?」
なんてことない顔をして言おうと思ったのだが、声が若干震えてしまう。
「マリちゃんのお母さんから連絡があって。家にいないから、こっちに来てないかって聞かれたんだけど、いないわよね」
「うん、今日は天気が悪いから遊ぶ約束をしなかったよ」
たしかに遊ぶ約束はしていなかった。
――だけど、嫌な予感がする。
わたしは先日マリの話していた秘密を思い出した。
もしかしたらマリは、小鳥の巣を守りにあの遊歩道へ行ってしまったのではないか……?
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