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「……僕はダンスを始めるきっかけになったのが柿沼くんと谷ちゃんだったんです。2人が楽しそうに踊ってる姿をみると僕も楽しくて。一緒に踊ったらもっと楽しくて……。だから、ダンスで人を笑顔にしたいなって」
「なるほどな、いい夢だな」
街位がそう答えると山田は少し嬉しそうに笑った。そしてそのまま酔いがまわりすぎて、机に突っ伏す。
なぜか街位が介抱することになり、山田を一人暮らしの自宅へ連れ帰った。ベッドに寝かせながら、街位はふと思う。なんでこんな真面目な人間があんなたいそうな夢を語ったのかと。酔っていたというのもあるが、それこそ本心なのだろう。
なんだかんだ、こいつもダンスに心を奪われる同類なのかもと眠る山田を眺めつつ、街位は口の端を上げた。
そして、山田のダンスを見る。気持ちを決めた山田のダンスは、それはもう目を奪われるほどイキイキとしていた。踊ることが楽しいと体全体で表現する。街位は山田を欲しくなる。自分の理想の絵図に加わる最高の切り札。
「おまえのダンス、最高に刺さった」
街位の言葉に山田は笑顔をみせる。そんな山田を囲う3人。
北海、柿沼、谷口、そして山田。街位が理想のチームを思い描いて集めたメンバー。一人ひとりが全く違う個性の持ち主。唯一無二の存在。
この5人で成し得る未来を想像して街位は脳内の絵図を更新する。それは
、彼がチームを設立した当初から心に決めていた信念。
この5人でダンスの頂点をとる。自分と同じ志をもつ最高のメンツを集めた街位の自信は、更に強く、揺るがない。
「街位さーん!早く踊ろーよー!」
「俺も体動かしてぇ」
「街位ー、何黄昏てんのー?」
「街位さん、一緒にやりましょう」
柿沼、谷口、北海、山田の4人が街位を見つめる。その4人の声に頷く街位。目の前にいるのは、最高の仲間。
ーーああ、俺の理想にまた一歩近づいた。
そう集めた仲間を見て、街位は微笑んだ。
Fin
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