彼の理想絵図

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 街位が最初に声をかけたのは、北海という男。前に一度ダンスをしたいる姿を見た時に絶対にメンバーに欲しいと思った相手。柔らかいムーブの中に力強さも兼ね備える踊りに目が奪われる。 「きみ、チーム作るのー?他のメンバーだれ?」 「いや、今のところ俺とあんたの2人」 「ん?俺もうカウントされてるんだ」 「あんたは断るわけないだろ。ダンスを見てればわかる」  街位がニヤリと自信満々に笑い断言する。言葉を発さないで体で表現するダンスとは実に雄弁だ。そんな街位の言葉に北海はやれやれといった風に肩をすくめて、にこやかに笑う。 「なんだか流されてるような気もするけど。君のダンスも見たことあるし、君自身も悪い人じゃなさそうだし、いいよ」 「ああ、ありがとう。俺は街位りくだ」 「俺の名前は北海。よろしく、街位」 「ああ、よろしく。まだまだメンバーは集める。俺の理想のチームの絵図には同じ志のやつがもっと必要だからな」 「いいよー。でも俺ダンスしかできないから勧誘は足引っ張っちゃうかもよ?」 「大丈夫。俺があんたをうまく使うから」  2人は手を取り合い、チーム結成を誓う。こうして街位は理想のチームへと一歩踏み出した。  2人は公園でのストリートダンスを頻繁に行い、観客の中に同じようにダンスに対しての想いが一致する者を探した。  そうして、見つけた。谷口と柿沼という年下の男2人を。 「街位さんと北海さんのダンス、めちゃくちゃキレッキレで最高っ!」 「ああ、みていて踊りたくなる」 「んじゃ、ダンスバトルでもするか?」 「いいねえー、4人でやったら楽しそう」  そんな和気あいあいとした流れの中、ダンスバトルをする4人。柿沼の巧みなダンスに谷口のパワームーブ。街位は目を見開いて、笑う。  ーーまた、集まった。
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