彼の理想絵図

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 こうして、2人もチームに入り『human』として4人は夜の公園や駅前でストリートダンスをしてオーディエンスを湧かせた。  ーーああ、楽しい。  街位は4人で踊ることを心の底から楽しんだ。ダンスをすることが何よりも面白くて、街中で踊れば歓声が上がり、いつも注目の的だった。  4人で踊るのは思い通りにいかない場合があり、でもそれは嫌な流れではなく、むしろ楽しい予測不能。  4人は“1+1+2”という数値以上の力を発揮することができた。それはとても自然な流れで完成されたものだったと街位は思っているし、これから先もずっとこのメンバーで踊り続けるのだと信じていた。  そうして月日が流れたある日。ストリートダンス終わりに柿沼と谷口が血相変えて走り出した。 「あいつらどうした?」 「ほら、前に言ってた高校の時に一緒にダンスしてたお友達。今日も見にきてたんだってー」 「ふーん、それで追いかけたってわけか」  片付けをしながら街位は考える。あの2人が追うくらいの離しがたい存在。いったいどんな男なのだろう。街位の脳内で描かれる絵図に変化が生じる。もし、その者が入れば……いったい今度はどんな予測不能が起こるのか。楽しみで仕方がなかった。  街位の思惑通りに、柿沼と谷口はその友達を確保してきた。見た目は普通のサラリーマン。おとなしそうな印象。流れで飲むことになり、酔いも回ってきたところで街位は柿沼たちの友達の山田という男に話しかける。 「なあ、おまえのダンスへの想いはどんな感じなんだ?」 「え、そんないきなり……恥ずかしいですね……」 「おまえだけ言ってないんだぞ」  柿沼が山田をからかうと山田は恥ずかしそうに頭を掻きながら話し出す。
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