そこにこだわる必要はないのかな

妹のは、きわめて長いんだけど、わたしのは、まったく長くない、そうやってわたしが悩んでいることを妹は知っていて、自分のを分けてあげると言う、けれど、しっぽを切り刻んで、わたしのしっぽに足してみるだなんて、どうあってもできっこないんだから、そんなこと言う必要なんてないんだよ

パン屋さんになりたいと言っていたニンゲンの子たちは、のきなみ結婚して子どもを育てている、お花屋さんになりたいと言っていたニンゲンの子たちは、たいがいハイヒールをはいて会社勤めしている、魔法つかいになりたいと言っているニンゲンのあの子だけは、あいかわらず魔法つかいを目指しているわけだけど、なかなか、魔法つかいにはなれなくて、なれるメドも立っていないようで、なれるあてもないようで、うすうす、このまま、ずっと、なれないのかなあ、なんて思いはじめてもいるようなのだけど、そういった思いを閉じこめるように、毎日、せっせと毒りんごをつくっている

出てこないのが苦しいのは、出てこない状況というのは苦しいことなんだよ、という前提があるからで、出てこないからといって苦しいことでもなんでもないんだぜえ、といった前提にすりかえてしまえれば、なんにも苦しいことはないんだろう、仮に、上手くすりかえられたとして、けれど、出てこない状況に直面したら、やっぱり、苦しいと強く感じてしまうんだろう、ニンゲンというものは