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そう言うと、友人はおれの元から去って行った。友人は動画投稿者なんてやってるおれを心配して、自分の会社に誘ってくれたのである。
確かに、友人の言う通り動画収益はほぼゼロに等しい。食事代・交通費・撮影機材にかけた予算はこれまでで数百万円を超えている。
赤字も赤字、大赤字だ。貯金は減るばかり、このままでは食うに困る窮状へと追い込まれてしまう。
引退る潮時かとも思われたが、おれは動画投稿者として何も成し遂げていない。このまま引退たところで、誰にも気づかれない。一人の動画投稿者が消えたことすら知られることなく終わるのだ。
これまで数百万円をかけてきたのに、これで終わっていいのだろうか? それこそ金の無駄じゃないか。だから引退ることに踏ん切りがつかない。
おれはサンクコスト効果によって貯金を減らしながらダラダラと動画投稿者を続けるのであった……
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