虹の二皿

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「次は……やはり、これか」  次にフォークを向けたのは、定番のショートケーキ。新しい店を開拓するとき、必ず最初に食べるケーキだ。  いつもより数段小さいが、つくりは同じだ。スポンジは三層になっていて、間にイチゴとクリームがぎっしり詰まっている。個人的には、他の店よりも密度が高いと思っている。そして天辺にはふんわりとしたデコレーションのクリームと、4分の一程にカットされたイチゴ。なんだか、いつものイチゴショートに対して、子イチゴショートと呼びたくなる愛らしさだ。  こちらは様子見をする必要は一切ない、安定の美味しさと知っている。遠慮なく、一口で一個まるまる、口に迎え入れる。  想像に違わぬ美味しさが押し寄せた。甘い、ちょっと酸っぱい、それと混ざりつつまた甘さが上書きしてくれる。そして、またほんの少し酸っぱい……心地よい味の連鎖が、いつまでも繰り広げられる。  ここにほろ苦い味が加われば、また別の連鎖を生んだだろうか。コーヒーを後回しにしたのは失敗だったか……。  次に取りに行った時は試してみよう。  そう思った時、甘さと酸味のループは止んだ。やはりこのサイズでは楽しいループもあっという間に終わってしまうのだ。 「では、次は……」  皿に視線を向け、次なる『相手』に狙いを定めた……。
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