虹の二皿

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 次は、これだ。  白と緑のストライプを描き出す鮮やかな色合いの、抹茶シフォン。これはどちらかと言うと、妻がよく食べていたものだ。だから、向かいの皿にも、取ってある。 「月に一度の楽しみの日だ。一緒に食べようか」  イチゴショートと同じく一口サイズのそれを、フォークでそっとすくい上げ、口に運ぶ。  まず最初に、抹茶の渋み、苦み、そして爽やかな味わいが柔らかく広がる。それらを味わっていると、今度はクリームの甘みが混ざって、包み込んでいく。  渋みと甘みが絡み合って、砂糖や果実だけでは出し得ない旨味を作り出していく。  一口で終わってしまうのが、非常にもったいない。妻が何度も食べていた理由が、よくわかる。  向かいに置いた皿にフォークを伸ばす人物は、今はもういない。  代わりに私がフォークを伸ばし、妻が食べる分も、口に入れた。一緒に楽しめているなら、届いていればいいのだが。 「さて、次はどうしようか」
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