Prologue

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そのストレスと仕事の開放感もあって私はこの日少し飲みすぎたんだと思う。 二次会はバーで開かれて周りが席で話す中カウンター席で寂しくお酒を飲んでいた。 家庭の話とか恋人の話とか私にはついていけないし、そんな浮かれた話がない私が傍に居てもやりにくいだろうと気を使ってその場を離れた。 帰ればいいじゃんと言われてしまえばそのとおりだけど、生憎飲み足りないし帰りたい気分ではない。 今からお店探しも面倒なのでカウンターで我慢するとする。 「お疲れ様。花咲」 グラスを持って隣の席に腰掛けてくるのは瀬那課長だった。 「お、お疲れ様です!」 残業する度に甘い癒やしボイスで「頑張ってるね、いつもありがとう」って言いながら差し入れしてくれたり、時々気の抜けるような会話で笑わせてくれたり、ミスしても安心させてくれてカバーしてくれたり。 本当理想の上司。 おまけに顔面が強い。 高身長、出世頭、きっと高収入。 何でこんな人が恋人居ないのか不思議なくらいのできた上司。
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