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そこからしばらく本当に忙しくなって、瀬那さんどころの話ではなかった。
毎年決まって忙しい時期ではあるけど最近は本当に忙しい。
広報部全体で残業がとんでもなくなる時期。
忙しい方が好きだし、仕事は楽しいけど乗り越えて成果が出るまで本当に苦しい。
営業は逆に広報が落ち着いた後忙しくなるからしばらく多分会えなくなる。
これで良かったのかも。
瀬那さんといるのしんどかったし。
好きな仕事を理由に距離を置けるならそれはそれでと安心していた。
広報部の中でも家庭を持つ人は結構居て、遅くまで残業できない人も結構居た。
私はその分独り身なので気兼ねなく残業できる。
だからではないけど、篠谷先輩も独身で遅くまで残るのためこうして残業の間に話す時間も増えた。
「相変わらずこの時期は大変ですよね。毎年覚悟してますけど」
「うん、下の子たちが頑張りすぎて体壊さないか心配になる。」
すごいお人好し。
こういう時って普通自分の事を気にすると思う。
しんどいとか、早く帰って休みたいとか。
それなのにすぐ出てくる言葉が下の子たちの心配って、私には上に立ってもそんな発言はすぐには出てこないんじゃないかと思うと、人が出来た篠谷先輩を尊敬した。
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