隣人はストーカー【前編】

４

この男が、職場で嫌われている理由がわかったような気がした。失礼にも程がある。

「……答える必要ありますか？」

「ないですよ。全くないですけど素朴な疑問なんです。なんで、あんな男と結婚したのかなぁって。」

「あんな男……？」

「健さんみたいな人って、優しく見えるけどそのうち暴力したりするよ。俺の直感ってだいぶ当たるんで。そこらの占い師より当たるんです。」

人格を疑ったと同時に謝ってしまったことを後悔した。こんな最低な男には、最初から気を使う必要などなかったんだ。もう二度と、こいつを家には呼ばない。もう二度とだ。

「明日も早いので、そろそろ帰ってもらえません？」

御手洗は、何も言わずに椅子から立ち上がった。玄関に向かうのかと思いきや、どういうわけか寝室の方に歩いていってドアを開けた。