はじまりのこと

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はじまりのこと

海と空が広がり 海と空が交わるところ  それが彼女が憧れた場所  どこまでも鮮やかなブルーが続く場所  多彩な風が吹き抜ける場所  波に揺れない光の道 夕暮れから宵闇に色を変え絶えず続く光の道  太陽と月の想いが海に溶け 道は岸へとたどり着き彼女の路になる 「私ね。台湾に行ってみたいの。とにかく一度、行ってみたいの。出来ることならね、住んでみたいくらい。とにかく、台湾が大好きなの。」 ごく親しい友人たちに、私は話していた。 「・・・で、何で台湾なの?」 その友人たちに、幾度、聞かれたことだろう。 その度に、私は返答に少しためらった。  私の台湾への愛と憧れについて、話したのは極々親しい友人たちだけ。たぶん両手で十分に足りる範囲の。それは、私の心にある事をちゃんと話せる人たちで私なりの信頼感を確信している範囲にいる友人たちだ。私が何を話しても、きっと大丈夫。そんな友人たち。  だから、安心感はあったのだけど。それでも一瞬ためらってしまったのは、“私と台湾の出逢い”が、ちょっと特殊なものだったから。  その出逢いとは、あるセラピーの場面だった。セラピストである私のスタートは“カラーセラピー”。色彩心理学から始まり、それから多岐にわたり独学で学んできた。だけどここにきて自分の癒しとスキルアップの為に“ヒプノセラピー”を学び資格を取得する事にした。  催眠療法と聞くと、少し怪しく感じるかもしれないが、その歴史は古く古代ギリシャでも行われていたセラピー。  日常の顕在意識下を離れ、深く遠いような潜在意識下に入り魂の声を聞き体感するセラピーだ。そのようなセラピーがある事を知った時、私は言いようもなく惹かれた。そして、すぐさま学びを開始した。  ヒプノセラピーというジャンルの内容は広く濃く“時空を超えた旅のセラピー”とも云えるもので、過去も未来も今につなげ心体の内外を繋げるものだ。深いのだけど、その中の“前世療法”が私を台湾に出逢わせてくれた。  日本でも前世ブームは、過去に幾度かあった。占いやお告げ、リーディングのように“あなたの前世”を見透かして教えてくれるものもあれば、その人自身が体感し記憶を癒し新しい一歩につなげるものまで様々だけど、これまでも人々は前世に興味を持ち惹かれ求めてきた。それはきっと、心のどこかで生まれ変わりを信じ失われてしまった記憶を求めているのではないか?とも思う。    ヒプノセラピーは、忘れてしまった自分の記憶に出逢えるセラピーだ。潜在意識の中には、ちゃんとまだ貯蔵されている。いや、広く時空に解放された記憶の断片を探しに行けるセラピーと言った方がいいのかもしれない。  前世療法は、そんな時空を超え魂の記憶に出逢い深く癒されるセラピーだと私は感じている。その第一人者であるブライアン・ワイス博士は、日本でも有名で著書は増版を重ね文庫本にもなっている。きっとヒプノセラピストの方々は、一読している事だろう。もちろん私も読んでいる。  ヒプノセラピストの資格には、いくつかの段階と種類があるのだけど、その中の一つに前世療法の施術がある。資格取得のレッスンの中では、幾度も自分自身の前世も体験する。本当に驚くほどリアルに体感できる。匂いも感覚も心情も。  そして、幾つもの前世があったのだと知ることにもなる。本当に人は、約束を繰り返し誓い心に希望を抱いて生まれ変わりを続けているに違いないと感じるほどに。  私の幾つもの前世の中でその場所がはっきりと特定でき鮮明に体感した感覚が残ったものの内4つが台湾での前世だった。前世療法レッスンの中で数十回という前世を体感した。そのうち4度も出て来た台湾。私の前世トリップ先では、登場回数ナンバーワン。よほど今世への影響が強いのだろう。  そうして台湾との強いご縁を自覚した私は、ものすごく台湾に興味を持ち、どうしようもなく、たまらなく惹かれて行った。 「いったい、台湾に何があるの?」 惹かれて止まない。ずっとずっと気になって、とにかく触れていたくて、恋の病にかかってしまったみたいな私。自分でも驚く。これが潜在意識下での体験のすごさなのかもしれないと改めて思う。
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