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恋しい台湾
恋しいぐらいに感じる台湾ではあるけれど、
「それじゃぁ、行ってみましょうか?!」
とすぐに行ける程の余裕はない。すぐそこの台湾ではあるけれど、巷のOLさんがひょいと週末旅で行けちゃう場所ではあるけれど、今の私にはすぐには手の届かない場所。
でも、恋しくてたまらない。何でもいいから台湾に触れていたい。
「よし、言葉を覚えよう。」
「たくさん、台湾の事を知ろう。」
そう思い立ってから、本を買い台湾のことを知ろうとし言葉を学び始めた。
信州にすむ私が、今この場所で出来る事を始めよう。台湾に近付くために。そう動き出した。
台湾にはたくさんの民族の言葉があり、共通語の台湾語があり、超共通語の台湾華語がある。私が学び始めたのは、“台湾華語”。文字は繁体字で日本の旧字とほぼ同じものも多く、日本人には馴染みやすい。この繁体字は、台湾だけでなく香港や上海、シンガポール、東南アジアでも使われている。文法や発音はほぼ中国語の共通語である普通話と同じ。厳密には違いもあるのだろうけど、アメリカ英語とイギリス英語の違いに近いものかと私は捉えている。
ただ、台湾華語はテキストが少ない。中国語に比べ圧倒的に少ない。しかも、地方の大きな書店でもネットでも数が少ない。そんなわけで台湾華語のテキストの他、中国語のテキストやテレビ番組で学び続けた。
好きや恋のパワーってすごい。
最初の頃は、とにかくもう楽しくて1日に5~6時間を勉強に充てることもしばしば。休みの度にわくわくして1日中テキストを開いていた。
そうして独学で4年半、学び続けた頃に試験を受けてみようと思ったの。英検とかTOEICとか中国語検定みたいなものの台湾華語版を。
試験にはリスニングもあるし、やっぱり聞き取れて話せるようにもなりたい。そう想って毎晩、台湾や中国のドラマを見て耳を慣らした。テキストでの勉強も続けながら。そして、いざ、台湾華語検定へ。
結果は、申請したレベルの合格はならず・・・ リスニングなんて30点台でボロボロ。でも筆記は上出来で、中級の上のレベル相当という評価になっていた。日本人らしい結果だった。日本人は、筆記はすごく優秀だけどリスニングや会話がダメな傾向にあるらしい。
この試験の後も独学で勉強は続けていて、もう7年目に入っている。よくもこんなに続いたものだわ。と自分でも思う。恋するパワーって本当にすごい。
今でも毎日3本ぐらいは台湾や中国のドラマを見る。7年前に見始めた頃は、
「こんなシャーシャー言ってるの聞き取れないよ。」
「聞き取れるようになる自信ない。話せるようになる自信ないわ・・・」
と感じていた。
でも、その度に“前世で話していたのだから、きっと話せるようになるはず”と自分に言い聞かせ勉強を続け、ドラマも見続けEテレ番組を見続けてきた。たぶん今は、最初の頃に比べたら随分と聞き取れているはず。・・・おそらく。
と、ここまで憧れ続けた台湾へ、私はいよいよ「行く。」と決めたのです。あのパンデミックも乗り越えた世界へ。
すると、私の中で“怖さ”がむくむくしてきたのを感じた。
「だって、私・・・ 日本から出たことないじゃん。」
そう、海外に行ったことがない。飛行機だって、一度しか乗ったことない。数年前まで電車の乗り換えすら怖かったのに。
でも、行くと決めた。一人でも行くと決めた。
「台湾の空気に、風に触れなければ。」
「とにかく一度、行かなければ。」
そう想っていた。
前世の記憶が呼びかける場所をガイドブックからピックアップして、今の予算の許す範囲の限られた日程でルートやプランを自分で考え、そのノートを持って行こう。これまで読み込んで来た数々の台湾本の中から直感が示す場所へ。恋して止まない、台湾へ。
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