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旅の相棒を集める
「絶対に行く! 一歩を踏み出す。」
そう決めてから私の頭の中で、旅の相棒となる物たちのリストアップが始まった。より具体的な旅に出る準備が始まったのだ。
まずは、【旅の間ずっと身に着けているバッグ】だ。
お財布やらパスポートやら、とにかく大事なものを入れておくバッグ。旅となればなぜか、それら中身の品々の重要度は日常よりグレードアップする感じがある。失くしたら大変という感覚が重大になる。
いつもの私は、手で持てる腕にも肩にも掛けられるタイプのちょい大き目バッグが好み。だが、旅となるとどうも嗜好が違うようで・・・
以前、東北へ一人旅に出た時も肩から斜め掛けできるちょっと大きめバッグが5日間の相棒だった。そこにはタブレットや立ち回り先で購入したお土産の類も入ってしまうような便利さがあった。それに取り出した時刻表や資料などを見るのに両手が使える快適さがよかった。
旅先でバッグを手に持たなくてもよいことは、快適さと心の余裕に繋がるらしい。自分比べですが。そうそう、写真も撮りやすい。パッと取り出せて自由な両手でさっと狙える。だから今回の旅でも身に着けられ両手が空くバッグをと思っていた。
しかも海外ですから、より安全に配慮して身につける感の強いラグビーボール型の前掛けも出来るタイプをイメージしていた。
そして【大型のトランクケース】が必要。これは大事。
今までのキャリーケースより一回り大きなタイプで、出発時には空きがあるくらいが理想。その空きに帰りにはお土産の品や好みの台湾グッズを詰めて来られるもの。
それから【パスポート】よ。
何と言っても、これがないと日本を出発する事もできない。「いつか台湾へ・・・」と心に想い言葉の勉強を始めた頃に、スピ界では有名な想いを叶える予祝”を兼ねて、先にパスポートの申請をしていた。生まれて初めてのパスポート申請は、とてもドキドキして緊張した。
「これさえ手に入れておけば、いつ何時、神様の悪戯で奇跡的なチャンスが来て、台湾行きの話が私に降りかかっても“すぐに行ける!”」
なんて。
昔のゲリラ渡航番組のような発想まで浮かんでいた。
だって
「準備が出来ている人の所にチャンスは訪れるって云うじゃない。」
そう想って。
だから窓口の方に「海外へ行かれる予定はいつですか?」と聞かれた時、
「あぁ・・・ 具体的な日程はまだ・・・」とちょっと恥ずかしく、気まずくなってしまった。
だが現実は、それから間もなくコロナ禍となり海外渡航なんてもってのほか、家からの外出もままならない世の中になってしまった。
そんなわけで、私の初めてのパスポートは、まっさらなまま有効期限が切れてしまった。だから再申請が必要になる。こんな事なら10年申請にしとけばよかったと少し後悔した。
最初の申請の時には、自分の行きたい気持ち“いつか行くんだ”という気持ちに半信半疑だったと思う。自信がないから5年申請だったのかもしれない。だが、今度は本気の10年申請だ。
それから【変圧器と湯沸かしポット】も。
台湾は日本とそれほど変わらないから、電化製品はそのまま使えるらしいと調べてはいたが念のための変圧器。今の世の中、スマホに何かあったら血の気が引いて真っ青になってしまいそう。ましてや海外。一人。このプレッシャーをはねのけるお守りに。
そして、私が台湾でやってみたい事の一つに“台湾のカップラーメンを食べる”がある。台湾は外食文化が根付いていて、夜市やレストランはもちろんコンビニのイートインスペースでも食事をするようで。台湾のドラマでは、誰かを待ちながらとか、一人悲しみと共にとか、コンビニでカップラーメンを食べるシーンが時々でて来る。
きっとカップラーメンは、台湾の若者にとってすごく身近で心も体も温め一時だけでも満たしてくれる食べ物なんだろうな。と思っていた。日本のメーカーの物も多数あるらしいが味は違うのだろうか? 台湾メーカーで人気の物はどんな味なんだろう?
なんてとても興味があった。お土産にとも思ったが、日本へ持ち帰れない物もあると聞いた。実は、中の“かやく”が問題になるらしい。魚はいいらしいが、肉がダメらしく空港の検疫で引っ掛かるとか。
「だったら現地で食べてしまおう。」
旅先での貴重な一食をスーパーやコンビニのカップラーメンというのも、ひどく勿体ない事をするようだけど現地でしか食べられないのならそれも旅の味。興味があるのなら食べればいいじゃん。でも、コンビニで一人食べる勇気はない。きっとホテルでの夜食になるだろう。ならばお湯を沸かす道具がいる。という訳で小さなポットが必要。
部屋でお湯を沸かせたら、ドリップ珈琲やお茶と温かい物が飲めるしね。台湾は、地場産のコーヒーや紅茶、お茶にも力を入れているみたいだからホテルでの寛ぎタイムにいいかも。
台湾はどちらかと云うと冷たい飲み物を日常で好まないようなので、ホテルの部屋にもポットがあるかもしれない。だけど海外だし、何となく備え付けの物は不安が。そもそもそういうとこ小心者の私は、日本のホテルでも備え付けのポットを使った事がない。何となく躊躇してしまう。
だから自分のポットがあれば安心。という事で400mlぐらいを沸かせるポットが必要なの。
そして【薄手の気分が上がるミニコート】も。
出発は12月。
最近は日本でも、雪国である信州でさえ12月初旬では、厚手のコートはまだ着ていない事も多い。沖縄より南の台湾では、たぶんコートはいらないだろう。とは思うけど、日本での行き帰りの事もあるし、暑い場所だから冷房の設備は行き届いているけれど暖房についてはあまり設置されていないようだ。という情報を得たので、念の為の薄手のミニコート。
着る度に気分が上がるような、ちょっとお洒落なジャケットのようなコート。以前から探していて、ネットストアの欲しいものリストに入れたまま半年以上が経っていた物があった。いよいよコート探しも真剣に。と思って久しぶりにリストを見ると、まだ在庫があるようだ。ネットだから素材感とか生地の厚みとか心配もあるけれど・・・
「何よりデザインが好きなの。私の気分が上がりそうだからいいの。」
と、ここがチャンス。買い時だわ。と購入を決めた。
そうしてちょっとずつ、一つ一つ頭の中のリストにある旅の相棒を手元に揃えて行った。毎月、自由になる金額は限られているから一つずつ。
「来年の12月に台湾へ。」
自分の心の中だけでそっと決めたのは前年の11月。
そう決めてからの一年は、洋服も小物も本当に買わなかった。夏に、友人と出かけた際にTシャツとデニムスカートを一枚ずつGUで買っただけ。
全てにおいて最優先は、台湾に行くこと。そんな気持ちでいたから。洋服も小物も旅先で買えば、全てが自分へのお土産だから。そう言い聞かせて。
こうして集められた旅の相棒たちは私と共に海を渡り、いざ、台湾へ。その時を待つのみとなった。
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