地元防衛軍、海へ

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 翌日早朝から海上自衛隊のP-3C哨戒機が現場の海域上空に派遣された。P-3Cは原発周辺の海中に次々と円筒形のソノブイを空中から投下した。 b2ca4dfd-55ef-4389-a9dc-44d6bb7dda4f(写真:海上自衛隊公式ウェッブサイトより)  廃炉中の福島第一原発から南へ20キロほど離れた町の海岸沿いに臨時対策本部が設置され、陸上自衛隊施設科が大型のテント状の業務スペースを設置した。  広々とした指揮室で、渡研のメンバーは自衛隊部隊の通信隊員たちとともに、パソコンの画面に映し出されるソノブイからの情報を見つめていた。  やがて画面に音波探知で捉えられた巨大な物体のシルエットが映し出された。それは樽のような太い胴体から細長い首が伸び、胴体の後ろには短い尾があった。  渡がパソコンを操作している自衛官に尋ねた。 「大きさはどれぐらいか、分かりますか?」  その自衛官は素早くマウスを動かして答えた。 「全長30メートルというところですね。首のように見える部分が全身の半分ほどを占めているようです」  渡は遠山の方に顔を向けて訊いた。 「遠山君、どんな生物だか推測出来るか? 私にはクビナガリュウのように見えるが」  筒井が肩を震え上がらせて言った。 「クビナガリュウって、恐竜時代に海にいたアレですか? もしそうだとしたら肉食の凶暴な恐竜なんじゃ?」  遠山が画面を見つめながら言った。 「正確にはクビナガリュウは恐竜じゃない。海棲爬虫類だね。だが、この映像は少し形が違うな。後ろ脚にあたるヒレがない。クビナガリュウならヒレ状の脚が前後左右に2対、合計4あるはずだ。これは一体何だ?」  別の通信隊員が声を張り上げた。 「P-3Cより緊急入電。巨大物体、浮上中。富岡川河口に向かって移動中」
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