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わたしの五歳の誕生日に、おじいちゃんがくれたドールハウス。それは、精巧に作られた人形用の小さなお家だった。上品なテーブルセットや食器棚は、艶のある落ち着いた色合いで統一されていた。床に敷かれた豪華な敷物には、美しい花の柄がちりばめられていて、まるで絵画のよう。わたしは毎日このドールハウスを眺めては、こんな家に住んでみたいと憧れを抱いていた。
「ユウカが大きくなったら、きっと住めるさ」
おじいちゃんは口癖のように言っていた。でも、ハウスの中の家具はどれひとつとっても、ため息が出るほどに洗練された技巧を凝らしたもの。こんな家具を作れる職人さんなんて、世界に何人いるだろう。たとえ作れたとしても、ものすごく高価になるのは間違いない。
日記に何度か出てくる〝アース〟という地名は、小さい頃に聞いた覚えがある。すごく遠いところにあって、わたしの知らないものがたくさんあるのだという。いつかわたしも連れて行ってもらう約束をしたのだが、結局その日が来る前におじいちゃんは天国に旅立ってしまった。
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