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「はぁ、っ、はぁ…っ」
息が、苦しい。
マラソンの後のように喉が痛み、しばらく息が整う気が全くしない。
キッチンマットの上でぐったりとしたまま動けない私の上に、覆い被さり、果てた後も胸の突起への愛撫を続ける仁。
「これ反則。めっちゃ、可愛い。
興奮して、鼻の奥さっきからツンツンする。
そのうち鼻血出そう」
反則、って!
「レース破いたの、仁でしょ。もう、これ気に入ってたのに…」
「なんで過去形?俺、現在進行形で今一押しなんだけど」
そう言いながら、尚も両胸の先端をかわるがわるちゅうちゅうと吸い上げる。
「もうっ、いいかげん、ふやけちゃうからやめて。それに早く、仕事に戻らなくちゃでしょ?」
胸元から仁の顔を引き剥がした。
かなり不服そうに眉を挟められる。
「帰ったら続き、していいの?」
つ、続き!?
「無理、無理!だ、って、今朝まであんな…っ
しかもこのエプロン、もう、使わないから。
買い直すから!」
「えーー!…じゃあ、もうちょっと堪能する」
そう呟き、また愛撫を再開させた。
「だめっ、もう、、仁…っ」
口ではそう言いながら、与えられる快楽に、敏感に反応してしまう自分。
結局その後も、流されて行為に及んでしまった。
───今度こそ、息も絶え絶えにぐったりと動けなくなる。
そんな私に「ほんとごめん!」と爽やかな笑顔で何度も謝り、ラップに包んだおにぎりを持って、また颯爽と立ち去って行った。
この差は何なの?
え、体力?
自分のものとは思えないほど重ったるい体を引きずり、シャワーを浴び、ようやくベッドに突っ伏したと同時に私は意識を手放した。
その後聞いた話では、夕方早めに仕事が片付いた仁は、そこからフットサルの練習に合流したらしい。
ほんと、どんだけ。
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