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───確かに。
「私に彼氏でもいれば良かったんだけどねー。社内じゃ仁が猛烈アピールしてるから、だぁれも寄って来ないしね」
恨めしげに、仁を睨みつける。
「ったりめーだろ?社内の奴に持ってかれるとかあり得ねえし。だったら、俺でいいじゃん。つーかその睨み……可愛いだけだそ」
言ってる自分が照れてる。
あんたの方が、よっぽど可愛いよ。
「───から」
ボソッと呟かれる。
「え?」
「俺、マジのマジで本気だから。
お試しに付き合うとか、絶対ねぇから。
お前も、軽い気持ちで俺にOKするなよ」
ふふっ、と思わず笑ってしまった。
「なに自分でハードル上げてんのよ」
「いいんだよ。郁さん、俺ももう一杯」
照れて不貞腐れたように、一杯目のジョッキを飲み干し、空になったそれを郁さんに差し出す。
こうやって横で見てても、かなりイイ男。
背は180あるし、髪型もシアベージュのツーブロックで緩くパーマがかかって甘い印象だ。
眉と唇がワイルドな印象である反面、目鼻立ちが綺麗で、全体的には男らしい格好良さだと思う。
今までにも相当、女性経験はあるだろう。
だからこそ、OKなんて出来ない。
「ねぇ仁」
端正な横顔に問いかける。
仁が一瞬ドキッとしたことが、あからさまにわかって口角が緩んた。
「もし私が仁と付き合う、って言ったら、あんた私の何番目の男になると思う?」
「な、、っ。
まぁ…そうだな。一桁だったらいいと思ってるけど」
はぁ。予想通りの返答。
「じゃあさ、仁は?付き合う、ってなったら、私は何番目の女になるわけ?」
「えっ」
驚きの表情。
「あーー…数えたことない。
付き合ってたのかわかんない子もチラホラいるし」
「うわぁ」
郁さんと2人、軽蔑の眼差しを送る。
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