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イケメン同期に迫られて困ってます
「なぁ、ありす。
まだ俺と付き合ってくんないの?」
無駄な色気を放ちながら、私の顔を覗き込み、熱っぽい視線を送ってくる男。
高倉仁 22歳。
私の同期。
3カ月前、入社式で一目惚れされて以来、事あるごとに私に告白し、何度断られても懲りずに言い寄って来る。
新入社員人気ナンバーワンのこの男なら他にいくらでもいい女がいるだろうに、なんとも不思議でならない。
「時間の無駄だよ。
若くて人気のあるうちに、早く他あたりな」
大ジョッキの残りの生ビールをぐいっと飲み干し、そう言い放った。
ここは、会社近くの立ち飲み屋「禅」。
会社帰りにここで一杯引っ掛けて帰宅するのが私のルーティン。
それを知った仁は、帰りの時間さえあえば、必ず一緒にここへ立ち寄るようになった。
「そもそも私なんかのどこがいいわけ」
今日はもう一杯飲みたい気分だったので、気が向いて話を続ける。
いやぁ、と照れ笑いの後はじまったノロケ。
「顔とか雰囲気とか、俺の好みドンピシャだし。声や話し方も、唆る。
仕事もソツなくこなすし。気遣いできるし。
あとは、このギャップだよね。
清楚な美人が、こんなむさ苦しい立ち飲み屋に通うなんてさ」
「むさ苦しくて悪かったな。
はい、ありすちゃん、大生ジョッキ」
カウンター越しに店長の郁さんの突っ込みが入る。
「ありすちゃん、今フリーならちょっとだけお試しで付き合ってやれば?
このままだと、しつこくいつまでも言い寄られるぞ」
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