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02.
演劇部・顧問の尾崎先生が出て行ったあとのドアはかたく閉められたまま。そのドアから今度は明るい話題を持った誰かが来ないかと期待するように倫太郎はドアを見つめる。けど、ドアは開かない。事態は良くならないと告げるみたいに。
そのドアから尾崎先生が入ってきたのは、ほんの数分前の出来事。いつもはあまり顔を出さない尾崎先生だけど、今日はめずらしく部室に来たと思ったら、三人が揃っていることをたしかめて「大事な話があると切り出した。やけに真剣な顔で。
そして、尾崎先生は演劇部員たち三人に告げた。今度の文化祭までにメンバーを一人でも増やさないと演劇部は廃止になると。
「これでも、昔は三十人を超える部員がいて、すごくにぎやかで熱気があふれてたと聞いたことがある。私が一年生のときに」
安井先輩がふとそうつぶやくように言ったあと、倫太郎の方に顔を向け、そして独り言のように語る。
「けど、今じゃ三人。部長の私が不甲斐ないから、今年も新入生は一人だけ……」
「先輩、そんなことないですよ」
倫太郎は暗い顔の安井先輩に告げる。小野先輩も深くうなずく。
「そうだよ。部長のせいじゃないよ。要は部員を一人でも増やせばいいんだろ? 答えはひとつしかない」
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