終章:美祈の成長

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そういう意味では元カレの自由恋愛というのも“自分のやりたい”を優先させた結果だったのかしら?だから、ケルビンには私の怒りが理解できなかったのかもしれない。 「君の中にある幸せを見つけられたんだね」 ふと、どこかからケルビンの言葉が聞こえた気がした。それはまるで風に乗って届いたような、やわらかくて心にすっと染み込む声だった。美祈は、ふっと微笑んで小さくうなずいた。 「ありがとう、ケルビン。私、もう大丈夫だからね。」 心の中でそっとそう呟いた時、どこかでまたケルビンがあの気の抜けた笑顔で「よかったね」と言っているような気がした。今でもケルビンは、美祈を見守ってくれているのかもしれない――そう思うと、心が少し温かくなった。 (でも、もうケルビンに頼る必要はないんだ。) 今の美祈には、かつてのように「誰かに幸せにしてほしい」と願うことはなかった。自分の幸せは自分の中にある。そしてそれを見つけるのは、自分自身なのだと、少しずつわかるようになっていた。
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