4人が本棚に入れています
本棚に追加
そういう意味では元カレの自由恋愛というのも“自分のやりたい”を優先させた結果だったのかしら?だから、ケルビンには私の怒りが理解できなかったのかもしれない。
「君の中にある幸せを見つけられたんだね」
ふと、どこかからケルビンの言葉が聞こえた気がした。それはまるで風に乗って届いたような、やわらかくて心にすっと染み込む声だった。美祈は、ふっと微笑んで小さくうなずいた。
「ありがとう、ケルビン。私、もう大丈夫だからね。」
心の中でそっとそう呟いた時、どこかでまたケルビンがあの気の抜けた笑顔で「よかったね」と言っているような気がした。今でもケルビンは、美祈を見守ってくれているのかもしれない――そう思うと、心が少し温かくなった。
(でも、もうケルビンに頼る必要はないんだ。)
今の美祈には、かつてのように「誰かに幸せにしてほしい」と願うことはなかった。自分の幸せは自分の中にある。そしてそれを見つけるのは、自分自身なのだと、少しずつわかるようになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!