宇宙ゴミの秘密

1/5
前へ
/5ページ
次へ
 地球の周りには、たくさんのゴミがある。  古い人工衛星やロケットの残骸が、元の形を残したまま、あるいは、無数のカケラに砕けて、地球の周りを漂っている。どこかへ飛んでいくことも地上に落下することもほとんどなく、その数は増えるばかり。  その宇宙ゴミ、スペースデブリを掃除するのが、今回のミッションだった。  打ち上げられた作業船は、J達三人のクルーを乗せてグングンと進んでいく。小窓の外にはどこまでも広がる大宇宙。地球で見るよりずっとキラキラした星達が、至るところにある。  目標地点に到達すると、Jは仲間と共に船内で作業の準備を始めた。その時、仲間の一人が話しかけてきた。 「なあ、どう思う? これまでこのプロジェクトが失敗続きだったことについて」 「一定の成果はあったと思ってたけど」  Jが目をパチパチすると、仲間は手すりをつかんでJの前に回り込んだ。 「本気じゃないよな? 過去二回でスペースデブリは0.01%も減ってないのに?」 「とりあえず、減りはしただろう?」 「資料、読んでないのか?」  仲間がひそひそと言った。 「一回目は映像もデータもほとんど残されてないし、二回目なんて……。宇宙開発局が世間に公表してないのも納得だ。問題は、宇宙飛行士と機械、どっちが原因かってことだが……」 「おーい。分かってると思うけど、船内の様子は向こうに配信されてるよ。早いとこ準備を終わらせよう」  もう一人の声が飛んできて、J達は話を切り上げた。確かに、過去二回のフライトには謎が多いが、自分達は訓練してきた通りに一つ一つ作業をこなしていくだけだ。  宇宙ゴミ専用のプログラムを起動し、船外に取りつけられたアームの動作をチェック。異常はなさそうだ。  そう、Jが安心した時だった。  
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加