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こうして、宇宙人のゼット集めプロジェクトに、地球人のJが協力することになった。
Jはバルン星人に渡された特殊なネットを宇宙空間に広げ、時には人力で、時には宇宙船のアームを操って、ゼットを採取していった。バルン星人の宇宙船は採取に特化したものではなかったので、エネルギー節約のため、折よくやって来た地球の船の手を借りようと考えたらしい。
回収済みのネットを、Jは5cm以下の中型デブリを収めるために設けられたブースに保管した。くるまれたネットの中に見えるのは、砂利のような宇宙ゴミばかり。ゼットは目に見えない。
順調ダ、と小型の機器をネットに向けていたバルン星人が言った。
「俺には分からないが、もう願いは叶えられるのか?」
《単純ナ鉱物程度なら作レル量だ》
へえ、とJは感心した。
「ゼットを集めて、バルン星人は何に使うんだ?」
《決まってイル。研究環境ヲ整エルためにエネルギーを使う。ゼットの性質のデータも取る予定ダ》
「へえ……」
先ほどとの微妙なトーンの違いに、相手は気づいたようだ。
《地球人ノその反応は初メテだ。地球人なら、ゼットをどう活用スル?》
「他の地球人のことは知らないけど、俺なら大金持ちになる。分かるか? 大きな家、綺麗な宝石、ずっと遊んで暮らせる人生!」
《それガ、地球人ニハ価値がアルのか?》
バルン星人の表情は分からないが、「理解できない」と言っているように感じた。
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