宇宙ゴミの秘密

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「残念だけど、もう地球に戻らないといけない」  Jがゼット集めを手伝い始めて一ヶ月後。一番頻繁(ひんぱん)にJの船に出入りしていたバルン星人にそう言うと、その真っ黒な目がJを見た。 《なぜダ?》 「元々、俺達の滞在期間は一ヶ月……地球の基準で三十日間の予定だった。燃料もなくなるし、俺達が戻らなかったら地球人は怪しむ。前回の宇宙船も、どこで遊んでるのか知らないが、戻ってこなかったからな」 《二回続けてダト、偶然ノ事故とは考えにくいカラか》 「地球人はあなた達より技術が遅れているが、あそこに浮かんでる『月』くらいなら破壊できるし、気をつけた方がいい。怒ると何するか分からないからな」 《ソウなのか》  Jは自信ありげに頷く。 「せっかく集めたゼットが台なしになったら大変だ」 《分かった。地球に帰ってイイ。だが、地球人に我々のコトは伝エルな。貴重なゼットを惑星破壊ニハ使いたくない》 「へへ。他の奴に言ったりしたら、みんなゼットを欲しがって争いになる。誰にも教えるものか」  バルン星人は例の「理解できない」顔をした。 「また俺に手伝わせてくれよ? あ、そうだ。一緒に来た他の二人も戻してくれないか? 俺一人で帰ったら不審に思われる」  
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