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僕を染めた蔑まれても忘れられない1ページ
お昼前の教室の真ん中でいつも騒がしくしてる男子たちがいつになくザワついてるのが目に入った。
1人の机を10人ほどで囲んで坊主頭を突き合わせては「おお〜!」なんて声をあげてる。少し静かになったと思ったら、また歓声。なにやってんだ?
何かを見てるっぽいけど、あの輪に入る勇気はない。いつもならすぐ近くに居座って完全無視を決め込んで読書に没頭してる眼鏡っ子女子も何かを察したらしく、男子たちの輪から逃げるように姿を消してる。
休み時間はあと5分。男子たちの歓声がまた上がった。輪の外にいた男子数人が坊主頭の輪に近寄っていく。そこからさらに数人ずつ、男子たちが近寄っては歓声を上げるけど、不思議なことに女子は誰1人として近づかない。いつもなら率先して輪に突っ込んでいく女子もなぜか遠くから蔑んだ視線を送るだけ。
授業開始のチャイムが鳴る。先生が入ってきて蜘蛛の子を散らすように男子たちが自分の席へと戻っていく。人の壁がなくなって、男子たちが見ていたものが姿を現す。
平たいそれは、1冊の本。
その見開きの大半を占める一色に僕は全てを染められた。
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