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さて、私は何者でしょうか?
私には友達が一人もいません。友達ができないわけではありませんが、関係を持ってから一ヶ月も経たないうちに縁を切られてしまいます。嫌われるような振る舞いをした覚えは微塵もないのに。
高校で初めてできた友達、また彼女も私のことを避けるようになりました。
私は彼女を問い詰めました。私の何が気に食わないのか、私に非があるならば説明してほしいと。どうせ無視されるものだと思っていました。しかし、意外なことに彼女は口を開いたのです。
「お前はいったい誰なんだよ」
ただそれだけを吐き捨て、そそくさとその場から立ち去っていきました。
さて、私は何者でしょうか?
私は現在に至るまで、疑問に思い続けていることがあります。私の幼少期の記憶が抜け落ちていることについてです。
この疑問に対して、幼少期のことを鮮明に覚えている人間のほうが珍しいだろうと思われてしまうかもしれません。
しかし、そうではないのです。その考え自体は正しいと思いますが、私には当てはまりません。なぜならば、私の幼少期の記憶が全く存在しない代わりに、知らない誰かたちの記憶が残っているからです。
さて、私は何者でしょうか?
そんな問いをずっと私は自分に。
自分の記憶の中にある誰かにし続けて。
あぁ、頭がクラクラしてしまいます。
私には、たくくん、さっちゃん、かいとくん、みほちゃん……。いろんな人の記憶が存在します。
私は、それらの記憶と、「お前はいったい誰なんだよ」という彼女からの言葉を結びつけて、ある一つの仮説を思いつきました。
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