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その仮説というのが、私にはいくつもの人格があり、それらが自分の知らないうちに入れ替わっているというものです。
人に避けられてしまうのは、別の人格が出てきて悪さをしているからではないかと考えました。
私は精神科を受診しました。先生はとても優しかったです。話を真剣に聞いてくださったり、軽くテストのようなものを用意して、私の状態をしっかり見極めようとしてくれました。
しかしながら、すぐに結果が出るようなものではないらしく、次の予約をとり、その日は帰りました。
二週間後、私は再度来院します。先生は、複数の人格が存在するというような精神の異常性は見受けられないとおっしゃられました。つまり、私の仮説は見当違いだったわけです。
こうして、今までの謎が謎のまま残ってしまいましたが、先生は親身になって私を診てくれました。感謝の気持ちでいっぱいでした。私は先生にお礼を言ってその場をあとにしようとします。
しかし、先生は首をかしげ、私を呼び止めました。先生が指摘したのは、私の精神年齢の低さでした。心理のテストの数値では、そこだけ著しく低いのです。精神疾患に値するほどの数値ではありませんが、先生からすると少し意外な結果だったらしいです。
おそらく母親を連れてくる姿から、大人びた印象を受けていたのだと思います。
実は、この病院に私は以前から頻繁に通っていました。母が心の病を患ってしまったからです。
私が幼少期の頃は、まだ母は元気でした。父いわく、子守唄を歌ってくれていたし、読み聞かせもしてくれていたし、私と一緒に並んでテレビを見て笑っていたらしいです。
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