序章

1/2
前へ
/25ページ
次へ

序章

 人間の傍らでそっと息づく〝隣人〟たちの間で、まことしやかに囁かれている噂。 『黄金色の柔らかな光と薄霧が揺らめく森の小径(こみち)。そこを抜けると、〝紅茶の化身〟のみが辿り着くことの出来る秘密の庭園があるらしいよ』 『黄昏と夜が混在しているようなその庭園に時間の概念はなく、また季節も無いようで様々な花が咲いているのだとか』 『誰が、何のために創ったのか分からないが。其処(そこ)は【黄昏の庭園】と呼ばれているそうだ』  心が溶けるように甘いお菓子と、幸福に溺れるような紅茶を並べて。 〝紅茶の化身〟たちは、いつまでも、終わらない御茶会をしている。  そんな、御話(うわさ)
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加