0人が本棚に入れています
本棚に追加
クリスマスケーキが欲しいの!苺のたくさん乗ったやつ!
そうおねだりしたのは、10月1日。その日から、わたしのどんぐり集めが始まった。1日1個ずつ、クリスマスまで集めて、タオルで出来たケーキに乗せていく。まるでクリスマスケーキのように。
でもこのケーキ、この前、花嫁さんとおにぃちゃんが大きなナイフで切っていたやつに似ている。まだ真っ白な、何も乗っていないタオルケーキを見ながら、ナイフを入れる真似をする。
それから毎日、散歩をしながらどんぐりを1個ずつ拾って帰ってきては、ケーキに沿って置いていっている。揺れると、ぶつかると、コロコロと動いちゃうから、そっと。この前なんて、くしゃみでちょっと散らばってしまった。
31個、30個、50個、85個、少しずつクルスマスに近づいている。もうすぐたくさん苺が食べられると思うと、わくわくが止まらない。今日はクリスマス・イブ。
ねぇ、目を閉じて。
期待に胸を膨らんでしまう声がした。
そして、次に目を開けたとき、目の前にはぎっしりと苺が敷き詰められたケーキが。そして、君の笑顔。
あとね、これ。
どんぐりを置いていったケーキには、どんぐりのとなりに、真ん中がきらりと光る花が咲いていた。
最初のコメントを投稿しよう!