0人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンタ、武器を集めてるんだよな? その剣もなかなかすごそうだ」
「……そうか?」
剣身は日光を受けて澄んだ輝きを放っていたし、鍔にも何やらギザギザした装飾があった。きっと、いいものだから愛用しているのだろう。ハンターは眉一つ動かさなかったが、どことなく誇らしげに見えた。
腰には他にも剣が一本、背中にもクロスするようにもう二本。それに使い込んで黒ずんでいる革の防具が合わさると、いかにも戦い慣れしているという風格がある。焦げ茶の短い癖毛、古傷のある角張った顔。強そうだ。
一方のリンガは快適さ重視の軽装。どうにか見逃してもらえないだろうか。
「だから、俺の剣じゃお眼鏡に適わないんじゃないかな。時間の無駄だと思うよ?」
「既に決めた。俺は貴様の得物をもらう」
「いやいや……うわっ」
ハンターが鋭く突進してきた。銀色の一閃。リンガは自分の剣で何とか相手の一撃を受けた。ガキンと金属音が散る。
「さすがに、剣が重いね」
腕を震わせて鍔迫り合いしていると、ハンターが「黒い剣か」と呟いた。
「そう。変な剣だろ?」
リンガの剣はどういう金属を使っているのか、全体的に炭のように真っ黒だ。だからやめた方がいい、と説得しようとしたところで、リンガは目を瞬いた。
近くで観察してみると、相手の剣の表面はところどころ曇った色味で、細かい刃こぼれもある。
「ちょっと、聞いても、いいかな……!」
強まる剣の圧力を、一瞬のがんばりで跳ね返す。リンガはハンターから距離を取ると、大きく息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!