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「武器ハンターのアンタが、どうしてその剣を使ってるんだ?」
「どういう意味だ?」
会話に応じてくれるらしい。間ができたことに、ひとまずホッとする。
「いやその、他にもいい武器を持ってるだろうに、何であえてそれなのかなっていう、純粋な疑問」
「……」
ハンターはチラリと己の剣を見た。
「ちょうどいい重さだっただけだ。高級レアのようだしな」
「えっ?」
「その切れ味、味わうがいい」
脱力してしまったところで、また斬りかかってきた。リンガは「待った」と慌てて右にかわすと、手のひらで男を制止する。
「あの、気を悪くしないでほしいんだけど、それ、よくて星2レアだと思うよ……」
「何?」
武具は強さや希少性に応じて、星1から星5にランク付けされている。星が多いほどレア度が高い逸品で、星4以上のいわゆる高級レアの武器は、冒険者の憧れだった。
武器ハンターのお目当ても、レア度の高い武器だと思っていたのだが――。
「ちなみに、そっちの剣も見てもいい?」
怪訝な顔で、男が腰に差した剣を引き抜いた。リスクを冒すのは嫌だったが、リンガは黒い剣を鞘に収めると、敵意0の表情を浮かべて相手に近づいた。
剣身の金属の鍛え方が、甘い。
「こっちも星2、下手したら星1かも……」
「何だと? だが、前の所有者は一級品だと豪語していたぞ?」
「見栄張ったんじゃないかな? 遠目なら金属の質なんて分からないから、みんな自己申告みたいなとこあるし」
でも、こうやってじっくり見れば分かる人には分かるので、見栄を張っても自分の格を下げるだけだったりする。
背中の二本も見せてもらったところ、その内の一本が星3相当だったので、リンガはそれを暫定のメイン武器に薦めた。ガチャガチャと剣の配置を入れ換える強面ハンター。
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