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「えっと……アンタ、実は武器にあんまり興味ないのか?」
「愚問だ。俺は剣の使い手だぞ? 興味がなければ集めん」
「でも」
「その中で、よさそうなものを手元に置いている」
残りはあそこだ、とハンターが自分の後方を示した。大きめの手押し車に、剣やら斧やらがどっさり積まれていた。これは興味ない人間だな、とリンガは密かに決めつけた。
まあ、何にしても、この男が数多くの冒険者から得物を奪ってきたのは事実。手強いことには変わりない。
そこで、あ、と思った。自分を攻撃しようとしている相手に、アドバイスしてどうする。
ハンターが先ほどよりもやや短い、星3レアの剣を構える。その足元から、一瞬、フワッと光の渦が巻き上がった。
「げ」
レイズ。自身の攻撃力を一時的にアップさせるスキルだ。珍しいものではないが、元々パワーがある人間が使うと、強さが桁違いに跳ね上がる。
「今度こそ片を付ける」
ハンターが襲いかかった。鋭い切っ先を急いで剣で受け流す。二撃目、三撃目。攻撃のたびに火花が弾ける。この馬鹿力が。
「待てって。もう一つ聞きたい」
「よくしゃべる男だな」
キンッともう一度剣がぶつかる。
「あーもうっ」
リンガは力任せに剣を打ち合うと、その反発の勢いで後ろに跳んだ。追撃がなかったので、ひゅう、と一息つく。
手首にジンジンと鈍痛を感じる。腱を痛めたのかも知れない。
「アンタは、武器マニアのコレクターじゃない。血を見るのが好きな戦闘狂って感じでもなさそうだ」
男は無表情だった。それが、リンガの見立てを裏づける。
「なら、何でこんなことしてるんだ?」
そして、どうすれば説得できるのか。
「言いたいことはそれだけか?」
再び、ギラリと光る剣先がこちらに向いた。来る。
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