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───昔読んだ本に、こう書かれていた。 男女の双子は、前世で結ばれる事を許されずに死んでいった恋人達の生まれ変わりで、前世で犯した心中という罪を償う為に、現世では愛し合う事を許されない兄妹という関係性で生まれ変わったのだと。 信憑性のない(ただ)の迷信だ、と思った。 だけど、、 だけど、もし、それが本当なら、、身に覚えのない前世の罪のせいで、今、私は、こんなにも苦しい思いをしているのか。 そんなの、許せるわけがなかった。 腹いせのように、その(ページ)だけを破り取ると、ぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱の中へと投げ捨てた。 『……あいつへの気持ちも、簡単に捨てれたらいいのに。』 ぽつり、と自嘲するように呟いた言葉は、誰の耳にも届かないまま、虚空へと消えていく。
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