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「将来の儲け……ごほん。将来の可能性に比べたらゴシップの一つや二つ……」 「社長のお気に入りは、あまり宜しくないかと思いますよ」  マネージャーの仲上さんが社長のツッコミ役になってくれたところで、ようやく俺は八木沢くんと目が合った。   「ごめん……、柊……」  でも、俺はここで違和感を抱いた。 「八木沢くん……」  なぜなら。 「俺のこと知ってるの!?」  このときの自分は、俳優の八木沢嶺矢に認知されているなんて思いもしなかった。  小学校のときから同級生をやっているとはいえ、自分は特に秀でたもののない一クラスメイトでしかないはず。  これからも輝かしい学校生活とは縁遠い場所で生きていくものだと思い込んでいたから、八木沢くんの口から自分の名前が出てきたことに驚かされてしまった。 「……え、俺たち、小学校の頃から一緒……」 「いや、だって、子役として活躍されていた八木沢くんが、俺のこと知ってるとは思ってなかったから」  淡々と現実を語る。  でも、八木沢くんから認識されていたことが嬉しすぎて、次第に自分の表情は綻んでしまったかもしれない。 「ということで、(しゅう)」  社長とマネージャーの話し合いが終わったらしい。 「うちの稼ぎ頭をよろしく頼む」 「任せされた!」  円満に話がまとまり、社長と俺の間に穏やかな空気が流れる。  当の本人である八木沢くんは、その穏やかな空気を受け止めきれなかったかもしれないけど。
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