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「英語ならなんとかなるかも」
「……海外で仕事、したことあったっけ?」
「将来のこと考えて、学校の授業とは別に英会話のレッスン受けてるから」
「え、すごっ。俺なんて、授業に付いていくだけで精いっぱいなのに……」
売れっ子俳優は、海外進出も視野に入れているのかもしれない。
将来はこれになりたいっていう夢を持たない自分にとっては、夢を叶えるためならどんな努力も惜しまない同級生の活躍がかっこよすぎて仕方がない。
(でも、そこに嫉妬はしなかったんだよなー……)
ただ平凡な小学生、中学、高校生活を歩む自分は、一生を懸けたって八木沢くんのような輝かしい人生を送ることはできない。
幼いなりに、自分の人生に見切りをつけていたのかもしれない。
(自分には、期待しない……)
自分の分も頑張ってくれなんて感情を彼に押しつけるつもりはまったくないけど、そこに似たような感情は抱いているのかもしれない。
(八木沢くんには、もっともっと輝きを魅せつけてほしい……)
ラーメンスープの香りを取り込むフリをして、こっそり深呼吸。
これからも八木沢くんが輝く瞬間を目に焼きつけていくために、心の準備を整えていく。
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