Prologue

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そのまま演技モードに入って、泣き真似をする。 この手の演技はしたことないけどこの男を困らせるためなら今は何でもできるような気がする。 「酷いよ…、好きだったのに…。他の人と浮気して、妊娠までさせちゃうなんて…!」 少し大きめの声で俯いて、目元を手で隠しながら言ってやる。 「ちょ、結衣!?」 思惑通り周りは「浮気?」「妊娠?」と冷たい目線を元彼に浴びせている。 「おまっ!こんなやり方!」 俯きながらも心の中では全力でべーっと舌を出していた。 「クソが!お前みたいな女と付き合うんじゃなかった!」 そう言いながら合鍵を出して机に置いて、私が置いた合鍵は回収して店を出ていく。 立ち去ったのを見て、テーブルに置いてあったワインを口に持っていった。 「こっちのセリフだよ、ばーか」 そう小さく呟いて目の前にあるさっきまで元カレがいた形跡を冷めた目で眺めていた。 この時はやり返してスッキリしたつもりだった。
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